[ 画家 ]
古の安らぎに包まれた
奈良公園
Visit the Land of Eternity
奈良公園
古の安らぎに包まれた公園
JR奈良駅から徒歩数十分でたどり着く、この公園は、都市の近くとは思えないほどの豊かな自然に包まれている。
訪れてみると分かるのだが、この公園は驚くほど広い。
豊かな自然だけでなく、園内には、春日大社や興福寺、東大寺から国立博物館、正倉院まで、数多くの歴史的文化遺産が位置している。
立ち並ぶ木々の隙間から降り注ぐ木漏れ日。一面に広がる、広大な芝生の丘。その美しい自然の中を鹿たちが自由に群れ遊ぶ。
まさに穏やかな安らぎに包まれたような、穏やかな時間が流れている。
太古の自然の記憶
奈良公園の自然を辿ってゆくと、その奥地には、ある古の森が静に時を刻み続けている。
その森の名は、「春日山原生林」。
神が宿る森として、千年以上もの長きに渡り守り続けられ、太古の森の姿を今に残す森である。
この公園で暮らす鹿たちもまた、その自然と共に守り継がれてきた。
神に使える動物「神鹿(しんろく)」として、神聖な生き物として尊ばれてきたのだ。
樹齢1000年とも言われる悠然とした木々の佇まいが、この地の穏やかさを静かに演出しているのかもしれない。
文化の記憶
遥か万葉の時代からこの場所は、奈良公園は、景勝地として人々の間で親しまれてきた。
数々の文人たちがこの地を訪れ、幾つもの歌を残したという。
万葉集には、奈良公園について詠われた歌は、86首にものぼる。
また日本を代表する小説家・志賀直哉は、奈良公園近くに自邸を構え、
「名画の残欠が美しいように美しい。」
と公園の美しさを讃えたとも言われている。
そうした人々の記憶に共鳴するように、園内には、思い思いの在り方で、それぞれの豊かな時間を過ごす人々に出会うことが出来る。
静かに読書をする人や木陰で絵を描く人の姿。ただ静かにもの想いに耽る人の姿。
そんな古の記憶が流れる奈良公園は、まるで忘れ去れた桃源郷のような穏やかな時間で、今なお訪れる人々を包み込んでいるのだ。
- text/photo STUDIO HAS
- photographer Taishi Yokogawa
Information :
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京都府庁旧本館
address : 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
Reference :
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「松室重光と古社寺保存(日本建築学会計画系論文集 第613号)」
- 著者:
- 清水重敦
- 出版:
- 日本建築学会
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「桜のいのち庭のこころ 」
- 著者:
- 佐野藤右衛門
- 聞き書き:
- 塩野米松
- 出版:
- ちくま文庫
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text/photo :HAS Magazineは、旅と出会いを重ねながら、それぞれの光に出会う、ライフストーリーマガジン。 世界中の美しい物語を届けてゆくことで、一人一人の旅路を灯してゆくことを目指し、始まりました。About : www.has-mag.jp/about
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