[ 神社 ]
太古の自然が息づく
奈良・春日大社
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奈良・春日大社
太古の自然が息づく神社
「春日」とは、春の日のように麗らかで清々しい様子のことを表す言葉。
そんな春日大社の背後に今なお佇む、神が宿る山「御蓋山(みかさやま)」を御神体として、その歴史は紡がれ始めた。
「御蓋山」は、都の水源が流れ出る場所であり、太陽が昇る東に位置する山であった。この地で暮らす古の人々にとって、まさに大いなる自然が育まれる土地だったのだ。
そのため平城京が移されてすぐは、「御蓋山」それ自体を神として祀っていた。
大いなる自然への祈り
春日大社は、神の御託宣によって、何よりも樹木を大切にしてきた。
実際に「御蓋山」の山中にある、面積250ヘクタールにも及ぶ広大な神域「春日山原始林」は、841年に狩猟と伐採を禁止しされて以来、現在に至るまで、時を越え大切に守り継がれて来た。
この神社の創建の起源は、常陸(現在の茨城県)の鹿島から武甕槌命(タケミカヅチノミコト)を祭神として、この地に迎えたことにあると伝えられる。
その際に、神様が乗っていたのが、白い鹿であったという。その言い伝えから、春日大社は「鹿」を神の使いとして大切に守るようになったと言われているのだ。
受け継がれる祈り
「春日造り」と言われる優美な曲線を持つ建築様式を持つ、春日大社。
そんな春日大社では、20年に一度、御社殿を造り替える「式年造替」を創建の時から途切れることなく続けて来た。その回数は、これまでに60回を数え、60回を越えるのは「伊勢神宮」と「春日大社」のみ。
そうして連綿と重ねられて来た人々の祈りが古の記憶を決して途絶えさせることなく、今に伝えているのだ。
遥か古の時を刻み続ける、春日大社。
この地には、幾星霜の時の流れの中で受け継がれて来た、数多の人々の営みが今も静かに流れ続けている。
- text/photo STUDIO HAS
- photographer Taishi Yokogawa
Information :
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京都府庁旧本館
address : 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
Reference :
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「松室重光と古社寺保存(日本建築学会計画系論文集 第613号)」
- 著者:
- 清水重敦
- 出版:
- 日本建築学会
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「桜のいのち庭のこころ 」
- 著者:
- 佐野藤右衛門
- 聞き書き:
- 塩野米松
- 出版:
- ちくま文庫
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text/photo :HAS Magazineは、旅と出会いを重ねながら、それぞれの光に出会う、ライフストーリーマガジン。 世界中の美しい物語を届けてゆくことで、一人一人の旅路を灯してゆくことを目指し、始まりました。About : www.has-mag.jp/about
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