[ 神社 ]
古の物語を描いた
滋賀・白髭神社
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滋賀・白髭神社

古の物語を描いた神社
琵琶湖に浮かぶ鳥居が訪れる人に深い印象を残す、古社である。
古くから延命長寿・白鬚の神として広く知られ、縁結び・商売繁盛など、あらゆるものごとの導きの神として信仰を集めて来た。
日本全国に約300あると言われる白鬚神社の総本宮とされる神社として知られる。
御祭神として祀られるのは、「猿田彦命(さるたひこのみこと)」。
「猿田彦命」は、天上界から神が地上に降り立ったと伝えられる「天孫降臨」の際に、先頭に立って道案内をされた神として伝えられている。
そうした背景から、導きの神として信仰を集めることになった。
そして、「白髭神社」で祀られている「猿田彦命」は、白髪で白い鬚を蓄えた老人の姿をしていたという。
その神の姿にちなみ「白髭」という名前が付けられた。

古の鳥居の記憶
琵琶湖に浮かぶ鳥居の歴史は、1937年に始まる。
白髭神社には、遥か古の時代より湖の中に鳥居があったという伝説が残されていた。
室町時代に描かれた屏風絵「近江名所図」や、江戸時代に描かれた絵巻にも湖の中の鳥居が描かれている。
だが、そうした様々な伝承はあるものの、実際に鳥居が存在したという確かな証拠は残されていない。
また古くから湖が波打つ時に、鳥居が見え隠れしていたという言い伝えや天変地異の前兆として、突如鳥居が現れたとも伝えられる伝説も残されていた。
そして、それらの伝説を知った大阪の薬問屋・小西久兵衛による寄進によって、1937年に古の記憶が実物として形となり、湖中の大鳥居の記憶が紡がれてゆくことになる。

残された一片の詩
湖面に鳥居が浮かぶ神秘的な風景は、広島の厳島神社になぞらえられ、近江の厳島とも呼ばれる。
その美しさから「白鬚神社」は、古くから屈指の名勝地として知られていた。
そのため数多くの文化人がこの地を訪れて、その風景の美しさを讃えて数々の詩や句を残した。
その中には、源氏物語の作者でもある紫式部の歌や近江の地を愛した俳人・松尾芭蕉の歌も残されている。
そして、歌人・与謝野晶子も夫の鉄幹と共にこの地を訪れたという。
彼女は、明治から昭和にかけて自由に生きる女性を象徴する幾つもの歌を残した、日本を代表する女性歌人。
その時に、夫婦は共作で、ある一片の詩を残している。
「しらひげの神の御前に わくいづみ これをむすべば ひとの清まる」
上の句は鉄幹、下の句は晶子によって詠まれた。
この歌は、神社に湧き出る水の清らかさを讃えたもの。
この歌が伝えるように、「白鬚神社」は、今も変わらず清らかな水の恵みに包まれながら、悠久の時を刻み続けているのだ。
- text/photo STUDIO HAS
- photographer Taishi Yokogawa
Information :
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京都府庁旧本館
address : 京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
Reference :
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「松室重光と古社寺保存(日本建築学会計画系論文集 第613号)」
- 著者:
- 清水重敦
- 出版:
- 日本建築学会
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「桜のいのち庭のこころ 」
- 著者:
- 佐野藤右衛門
- 聞き書き:
- 塩野米松
- 出版:
- ちくま文庫
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