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星の歌と祈りの声
カリール・ジブラーン
『大手拓次詩集 上巻: 自選版「藍色の蟇」 』より

赤ん坊を抱いたひとりの女が言った。
どうぞ子どもたちの話をしてください。
それで彼は言った。

あなたがたの子どもたちは
あなたがたのものではない。
彼らはいのちそのものの
あこがれの息子や娘である。

彼らはあなたがたを通して生まれてくるけれども
あなたがたから生じたものではない、
彼らはあなたがたと共にあるけれども
あなたがたの所有物ではない。

あなたがたは彼らに愛情を与えうるが、
あなたがたの考えを与えることはできない、
なぜなら彼らは自分自身の考えを持っているから。

あなたがたは彼らのからだを宿すことはできるが
彼らの魂を宿すことはできない、
なぜなら彼らの魂は明日の家に住んでおり、
あなたがたはその家を夢にさえ訪れられないから。

あなたがたは彼らのようになろうと努めうるが、
彼らに自分のようにならせようとしてはならない。
なぜなら生命はうしろへ退くことはなく
いつまでも昨日のところに
うろうろ ぐずぐず してはいないのだ。

あなたがたは弓のようなもの、
その弓からあなたがたの子どもたちは
生きた矢のように射られて、前へ放たれる。

射る者は永遠の道の上に的をみさだめて
力いっぱいあなたがたの身をしなわせ
その矢が速く遠くとび行くように力をつくす。

射る者の手によって
身をしなわせられるのをよろこびなさい。
射る者はとび行く矢を愛するののと同じように
じっとしている弓をも愛しているのだから。

Artist
カリール・ジブラーン
アメリカ・オレゴン州の小さな町コキール出身の女性シンガーソングライターのローラ・ギブソン。
ニューヨークとオレゴンを拠点に、四大陸でのツアーを行うなど世界各地で音楽活動を行っている。伝統的な民族音楽と実験的な精神の両方を大切にしながら領域にとらわれない幅広い音楽制作を行っている。
Refference
大手拓次詩集 上巻: 自選版「藍色の蟇」
  • 編集 文芸樹
  • 出版 アリスト出版
  • 著者 カリール・ジブラーン
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Forget About
Otto A Totland
古いアルバムをめくるように
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古いアルバムをめくるように

色褪せた写真。
その写真に残る記憶を手繰り寄せるように、過ぎ去った日々を思い返す時間。
この音楽は、そんな淡い郷愁を想い描くように紡がれた一曲です。

この曲の歌い手は、かつてドイツで女優として活動していたSibylle Baier シビル・ベイヤー。
彼女は、役者業の傍らで音楽活動を行っていたのですが、当時は作品発表にまでは至りませんでした。
ですが時を経て、ホームレコーディングで録音していた音源を息子が見つけたことをきっかけに、30年後の2006年に唯一のアルバム作品「Colour Green」が発表されました。

この曲には、彼女の音楽が辿った運命のように、まるで時の彼方に忘れ去られたかのような郷愁を帯びた美しい歌声が流れています。

Artist
Otto A Totland
シビル・ベイヤーは、ドイツの女優であり、シンガーソングライター。
1970年代には女優として活動し、ヴェム・ヴェンダース監督映画「都会のアリス」等に出演する。
その役者の傍ら音楽活動を行うが作品発表にまでは至らなかった。
だが時を経て、ホームレコーディングで録音していた音源を息子が発見する。
その音源をダイナソーJr.のJ.マスシスに手渡したことがきっかけとなり、30年後の2006年に唯一のアルバム作品「Colour Green」が発表された。
Refference
Forget About
  • ArtistOtto A Totland
  • AlbumOtto A Totland
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美の遊行者
大手拓次
『藍色の蟇』より

そのむかし、わたしの心にさわいだ野獣の嵐が、
初夏の日にひややかによみがへつてきた。

すべての空想のあたらしい核(たね)をもとめようとして南洋のながい髪をたれた女鳥のやうに、いたましいほどに狂ひみだれたそのときの一途の心がいまもまた、このおだやかな遊惰の日に法服をきた昔の知り人のやうにやつてきた。

なんといふあてもない寂しさだらう。
白磁の皿にもられたこのみのやうに人を魅する冷たい哀愁がながれでる。

わたしはまことに美の遊行者であつた。

苗床のなかにめぐむ憂ひの芽、望みの芽、
わたしのゆくみちには常にかなしい雨がふる。

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Artist
大手拓次
大手 拓次(おおてたくじ / 1887 - 1934年)は、群馬県出身の日本の詩人。
早稲田大学第三高等予科を経て、1907年9月、早稲田大学文学学術院英文科に入学。この頃より詩の発表を始める。
1916年にライオン歯磨本舗に就職。以後、生涯をサラリーマンと詩人の二重生活に捧げた。
生涯に書かれた詩作品は2400近くにのぼる。作品の発表を盛んに行っていたものの、生前に詩集が発刊されることはなかった。
Refference
藍色の蟇
  • 著者 大手拓次
  • 出版 青空文庫
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Wintering
Laura Gigson
穏やかな陽だまりのような歌声を
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穏やかな陽だまりのような歌声を

優しい日差しに包まれた昼下がりのひと時。
この音楽は、そんな午後の穏やかな陽だまりを描くように紡がれた一曲です。

この歌の主は、アメリカ・オレゴン州の小さな町コキール出身の女性シンガーソングライターのLaura Gibson ローラ・ギブソン。
「If You Come To Greet Me」と名付けられたアルバムに収録されています。

穏やかな陽だまりが心をゆっくりとほどいてゆくように、聴く人の心を穏やかに灯してくれる音楽です。

Artist
Laura Gigson
アメリカ・オレゴン州の小さな町コキール出身の女性シンガーソングライターのローラ・ギブソン。
ニューヨークとオレゴンを拠点に、四大陸でのツアーを行うなど世界各地で音楽活動を行っている。
伝統的な民族音楽と実験的な精神の両方を大切にしながら領域にとらわれない幅広い音楽制作を行っている。
Refference
Wintering
  • ArtistLaura Gigson
  • AlbumLaura Gigson
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ウィリアム・ブレイク
『無垢と経験のうた』より

日が西に沈んでいく、
宵の明星が輝いている、
鳥は巣に戻って鳴きやみ、
私は自分の巣を探さなければならない。

花のような月は、
静かな光に包まれて、
天上高い四阿に座り、
夜にほほえみかけている。

さようなら、群れなす羊を楽しませていた
緑の野、しあわせな茂みよ。
小羊たちが草を食んでいた野山を
光の天使たちは静かに進む。

天使たちは目に見えぬかたちで
ひとつひとつの花と芽に
眠っているものの胸に
やすみなく祝福と歓びを注ぐ。

鳥たちを暖かくつつむ
無防備な巣をのぞき、
獣たちの住む洞穴をもれなく訪れる。
それらのものが傷つかぬように。

眠ることができなくて
泣いているものがあれば、
そのまぶたに眠りを注ぎこみ、
寝床のかたわらに座って見守る。

狼や虎が獲物をもとめて吠えるときには
憐れみのあまり立ち止まり泣く。
彼らの渇きをいやす道を探し求め
羊に手を出さないように導く。

しかし彼らが激しく猛り狂うときには
思慮深き者、天使たちは
従順な魂をひとつひとつ受け取り、
新しい世に送り出す。

そこでは、獅子たちの赤く燃える目も
黄金の涙を流す。
弱いものを憐れんで吠え、
羊たちの群のなかを歩きまわって言う。

怒りは彼のおだやかさによって
病は彼の健やかさによって
この不死の世界から
追い払われた

そして穏やかに鳴く羊よ、
これからはお前のかたわらに横たわり、
お前の名で呼ばれる方のことを思い、
お前を見守って泣く。

命の川で洗い清められた
私のたてがみは、
永遠に黄金のように光り輝く。

お前たちを守り続ける限り。

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Artist
ウィリアム・ブレイク
Refference
無垢と経験のうた
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歩み入る者にやすらぎを、去り行く人にしあわせを
ドイツのある城門に刻まれた言葉
『追憶の古都』より
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Artist
ドイツのある城門に刻まれた言葉
この言葉は、日本を代表する風景画家・東山魁夷の残した画集「追憶の古都」に残されていた言葉。
この本は、東山魁夷がドイツやオーストリアの古い町並みを旅しながら、その旅の中で感じた想いを自らの絵と文章で綴った本。
本の冒頭に、この言葉は添えられています。
Refference
追憶の古都
  • 著者 東山魁夷
  • 出版 ビジョン企画出版社
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Threnody
Goldmund
沈黙に捧ぐ美しいピアノを
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沈黙に捧ぐ美しいピアノを

澄み渡る空気と沈黙に包まれた静かな夜のひと時。
この音楽は、そんな静謐な時の中で、まるで水面に一滴の水が落とされるように紡がれたピアノ曲です。

「The Malady of Elegance」と名付けられたアルバムに収録された一曲。
この曲は、アメリカ・ペンシルベニア州出身の音楽家 キース・ケニフによるプロジェクト Goldmundの楽曲として紡がれました。

沈黙に捧げられるように静か紡がれるピアノの響きが静寂の中にある美しさを私たちに教えてくれます。

Artist
Goldmund
米ペンシルベニア州出身の音楽家 キース・ケニフのソロプジェクト Goldmund ゴールドムンド。
彼の音楽表現は多岐に渡り、表現するジャンル毎に、Helios/Mint Julep/Keith Kenniffといった多様な名義を使い分け、様々作品を発表し続けている。
Goldmundという名前は、主にピアノを用い、空間を静に響かせるような美しい楽曲を制作している。
Refference
Threnody
  • ArtistGoldmund
  • AlbumGoldmund
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茶っぽく青い樫の梢から見える、高あく澄んだ青空をながめると、変なほど雲がない。
宮本百合子
『秋風』より
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Artist
宮本百合子
Refference
秋風
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Pino
Otto A Totland
柔らかいピアノの音色を紡ぐ
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柔らかいピアノの音色を紡ぐ
Artist
Otto A Totland
1979年、ノルウェー・ポールスグルン出身の音楽家。
トラックメイキングから音楽制作を始め、その後ピアノでの作曲を行うようになる。憂いを帯びた美しいサウンドスケープが印象的な「Deaf Center」のメンバーとしての音楽活動を経て、2014年に初のソロピアノ作品「Pino」を発表。
ひとつひとつのピアノの響きを丁寧に重ね合わせた、静謐で柔らかな音色を紡ぎ出している。
Refference
Pino
  • ArtistOtto A Totland
  • AlbumOtto A Totland
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愛の詩集の本文より
室生犀星
『愛の詩集』より

私の室に一冊のよごれたバイブルがある。
椅子につかふ厚織更紗で表紙をつけて背に羊の皮をはつて NEW TESTAMENT. とかいて私はそれを永い間持つてゐる。
十余年間も有つてゐる。

それは私の室の美しい夥しい本の中でも一番古くよごれてゐる。
私は暗黒時代にはこのバイブル一冊しか机の上にもつてゐなかつた。

寒さや飢ゑや病気やと戦ひながら、私の詩が一つとして世に現はれないころに、私はこのバイブルをふところに苦しんだり歩いたりしてゐた。
いまその本をとつてみれば長い讃歎と吐息と自分に対する勝利の思ひ出とに、震ひ上つて激越した喜びをかんじるのであつた。

私はこれからのちもこのバイブルを永く持つて、物悲しく併し楽しげな日暮など声高く朗読したりすることであらう。
ある日には優しい友等とともに自分の過去を悲しげに語り明すことだらう。

どれだけ夥しく此聖書を接吻することだらう。

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Artist
室生犀星
Refference
愛の詩集
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Elemental Finding
Tara Jane O’Neil
白昼夢のような歌声に包まれて
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白昼夢のような歌声に包まれて

穏やかな光に包まれた午後のある日。
この音楽は、そんな昼下がりにかすかな眠気に誘われて、空想と現実を漂う白昼夢のような世界観を持つ、幻想的な一曲です。

この曲は、アメリカ・ケンタッキー州出身の女性シンガーソングライターのTara Jane O’Neil タラ・ジェイン・オニールによって紡がれました。
「新たな光の射す場所」という意味を持つ「Where Shine New Lights」という名のアルバムに収録された一曲。

夢と現つを漂うようなこの曲は、忙しない日々から遠く離れた、もうひとつの時間を私たちの暮らしの中に届けてくれます。

Artist
Tara Jane O’Neil
タラ・ジェイン・オニールは、アメリカ・ケンタッキー州ルイヴィル出身のシンガーソングライター / マルチ・インストゥルメンタリスト / 画家。
ニューヨーク、ポートランドを経て、現在はロサンゼルスを拠点に活動を行う。また自らの作品のジャケットのアートワークを手掛け、ロンドン、東京、ポートランドなど世界各地で展覧会を行うなど、画家としての一面も併せ持つアーティストである。
Refference
Elemental Finding
  • ArtistTara Jane O’Neil
  • AlbumTara Jane O’Neil
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